2012/04/20

地球寒冷化、そして極暑極寒期

地球温暖化が叫ばれているところに、以前から疑問を呈していたけれど、地球が一時的に寒冷化するかも知れないというニュースがまた出てきた。

太陽磁場、来月に4極化か…300年前は寒冷に
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120420-OYT1T00615.htm

今地球は未だ氷河期にいるらしい。氷河期の定義というのが、地球上に氷河が存在する期間を言い、今も高緯度地帯には南極や北極を中心に氷河が形成されていることから、氷河期なのだという。

ただし、氷河期の中にあっても、寒い時期と暖かい時期が繰り返される。この寒い時期を氷期というのだが、最後の氷期は1万年前に終了している。従って、私たちは比較的暖かい時期に生きていることになる。氷期は再び訪れることが予測されており、私たちは間氷期と呼ばれる時代にいるらしい。しかし、次の氷期は数万年後とのこと。

間氷期が一定して暖かいかというと、そうでもない。間氷期にも地球の表面温度が平均1度未満の幅で低下する小氷期という期間が周期的に訪れる。平均気温が1度下がるだけでも相当寒くなる因みに日本では隅田川が凍り、淀川も凍る。この期間にアイスランドの人口が半分になった記録もある。この小氷期は100年から200年続くようだ。最後の小氷期は16世紀中ごろから18世紀中ごろまで続いている。

この小氷期と、太陽活動の低い時期とが重なるということで、太陽活動が低下しつつある今日、地球は寒冷化するだろうと予測されている。ただし、完全に科学的な因果関係の証明がついている話でもない。一方で、もし小氷期が訪れるとすれば、小氷期の周期からして時期的にも妥当で、今後百年〜二百年の単位で地球が一時的に寒冷化する可能性がある。

では、今後地球はどんどん寒くなっていくかというと、私はそうは考えない。小氷期が始まったにしても、その影響が見えてくるまでには数十年かかるだろう。

それよりも、もっと恐ろしい事態に私たちは直面しているように思われる。それは、極暑極寒期の到来だ。

もう10年以上前の事だが、NHKの特集でメキシコ湾海流が弱まっているという事の警鐘が報道された。メキシコ湾海流というのは、メキシコ湾域から北極圏までに達する一大海流をいう。世界最大規模の海流の一つ。この海流が停止すれば、海洋の生態系が地球規模で破壊されてしまうに止まらず、地球気候にも重大な影響をもたらす。

メキシコ湾海流は南の暖かい熱を北に運び、一方で南の暖かさを冷却している。メキシコ湾海流は最後の小氷期の終わりころに発生し、地球気候の安定化に寄与してきた。ここ数百年、地球は他の時期の例を見ないほどに安定した気候を維持してきたが、これにメキシコ湾海流が深くかかわっている。

地球気候はかなり激しく変動することが知られていて、私たちは実は今、例外的に安定的な時期に住んでいるのだ。この間に人類は爆発的な文明発達を遂げた。日本もその恩恵に預かっている。江戸時代までは飢饉に餓死者が出るほどで、人口も2千万程度。それが小氷期の終わった頃から人口が増え始めている。江戸時代後期には日本人口は4千万近くになっている。今では1億3千万弱。

気候の安定によって、食糧事情が安定し、人口が増え、それに支えられて商業や科学が発達し、産業革命などを誘発した、と考えるのは不自然ではない。

もう十年以上前から、この海流の衰えは指摘されており、終焉しつつあったのだ。恐らくは、小氷期後の長い温暖化期間に、北部にあった大量の氷河が消滅して、冷却源が衰え、海流を形作るエネルギー源が失われた結果だろう。この海流が停止すれば、今まで気候を安定化させていた機構が消滅する。地球気候は以前の激しく変動するものへと戻って行くのだ。

一昨年、このメキシコ湾海流が停止した。

http://fxdondon.iza.ne.jp/blog/entry/2148729/
メキシコ湾の海流停止 〜取り返しのつかない事態を招いたメキシコ湾石油流出事故〜

そもそもメキシコ湾海流は弱まっていたのだろうが、メキシコ湾の石油流出事故が止めを刺したようだ。

これからは地球規模で気候が不安定化し、突然に極端に寒くなったり、暑くなったりを繰り返す、極暑極寒を繰り返す気候となっていく。残念だが、受け入れざるを得ないようだ。

例えばスイスにおいても、近年異常に暑くなったり、寒くなったりして、気象の記録が次々に塗り替えられている。今年に入ってもそれは継続しており、今年の2月には百年ぶりの寒波で、氷点下20度以下まで気温が下がる地域が平野部で続出した。今を生きる人々にとっては生まれて初めて経験する寒波が襲ったのだ。そうかと思うと3月には初夏に匹敵する異常な暖かさが訪れ、通常より半月も早く桜が開花してしまった。

もう地球温暖化に備えなければならない、などとは言ってはいられない。寒くなったり、暑くなったりが、激しくなるのだ。文明による環境破壊を防ぐ意味で、二酸化炭素の排出をある程度規制するのは、有意義とは思う。しかしそれよりは激しく変動する気候に対応できる社会体制の確立の方が優先される。

食糧事情も悪化することが予測されるので、気候変動の激しさに耐えられる品種の開発とか、臨機応変な作付、不作を予想した食糧備蓄などについても真剣に対策がとられなければならない。
(残念なことに、餓死者が続出するとかの悲劇が起こらないと、そういう対策は本格化しないのだが・・・)

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