2010/07/27

氷河急行再開について

氷河急行が再開されたけれど、日本では懸念を示す報道が多い。理由は原因が究明されておらず、その原因の対策が取られていないということ。

ある人は、スイスは人命より経済を優先している。だから、事故列車を撤去したとたんに運行再開した、と批判していた。

日本にいて得られた情報は、現在までの事故調査で、線路に異常はない、事故現場を3回別の列車で試運転を行い、正常運転が出来る事を確認した。よって運行再開が可能だという判断がされたという。

これは合理的な判断だと思う。線路に異常がないということは、列車に異常があったか、運転手のミスがあったか、そのどちらもが発生したと考えられる。事故車は使わず、運転手も謹慎していれば、当然正常運行が可能だ。なぜなら、正常な線路と、正常な列車と、正常な運転手がそろっているのだから。

ここら辺は、スイスの合理的思考によるものと推察される。

ところが、日本のメディアは、あくまで事故原因が究明され、対策が講じられるまでは、安全ではないだろうという視点に立っている。そうしない限り、また事故が発生する可能性を払拭できない。特に今、世界的な異常気象にあって、通常の安全では通用しない事態も想定され、一層の慎重さが求まれるのではないかという。

ここら辺は、日本の律儀な思考によるものと推察される。とにかく、事故の始末が一段落しなければ、次に進んではいけない、そういうけじめが大切なのだ。このけじめがついていないと、人の命が軽んじられている、安全性に懸念が残る、などの批判が起こる。

スイスと日本ではこの様に思考自体に隔たりのあることがわかる。そういえば、日本で起きたスイスのシンドラー社製のエレベーター事故で、シンドラー社の対応が日本人の癇に障り、袋叩きにあったなどの事件もあった。今回も、一触即発の事態に発展する可能性もあるだろう。ただ、スイスで起きた事故であるので、日本のメディアも叩きにくい側面があり、そこまでエスカレートはしない様に思う。

ネットが発展して、スイスも近い存在だけど、日本とスイスでは大きな違いがまだまだある。日本人がスイスに住むというのも、大変なのよ。(あれ、ぐちになったってか?)

2 comments:

  1. 玉キングです、
    なるほど、日本人がスイスに住むことの大変さか…なるほど。

    あとシンドラー社ってスイスの会社だったんですね。
    あの事件も日本人が騒ぎ立て過ぎだったのでしょうか?
    この僕も怒っていたんですが(苦笑)

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  2. シンドラー社はヨーロッパの習慣に従って対応したと思っています。それが日本の習慣に馴染まなかった、ということでしょう。

    「この様な事故を起こして、関係者として皆様にご迷惑をおかけした事をお詫び致します。弊社として対処出来る事があれば、精一杯の対応をさせて頂くつもりでおります。」

    とでもコメントすれば、良かったのでしょう。
    日本でこのコメントを発しても、責任問題にはなりません。また、何かをするという約束も厳密にはしていません。

    ところが、シンドラー社はシンドラーに落ち度はないと思っているから、当然謝りもしないし、その対応に努力するなどのコメントも発しない。アメリカもそうでしょうけれど、なかなか謝りませんよね。賠償を積極的にするなどという企業も皆無です。

    確か、結局エレベーターの管理会社が起訴されたのですよね。事故はエレベーターの保守の悪さが原因であって、製造責任に関わるものではなかった。結局シンドラー社の立場や対応は妥当だった訳です。シンドラー社に事故の責任はなかった。

    しかし、いくら直接的な責任がないにしても、その関係者であるメーカーが、自社の製品で人が死に、世間を騒がせたという事に対するけじめをつけていない。メーカーにあらざる行為である、と日本人を怒らせたと思います。

    でも、こういうけじめってのは、合理性の帰結としてある訳ではなく、日本的な習慣の一部でしょう。スイスの会社のシンドラー社はそこの所を理解できず、日本での対応を誤った、とは言えると思います。

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