2009/08/20

私のスイス、ヨーロッパ(107)

(107)
7月16日、曇り。
 朝の8時40分にロンドンのヒースロー空港に着く。英国への入国は入国カードの記入があったり、他のヨーロッパの国に比べると手間がかかった。入国審査を受けるために結構並ばせられて、待たされた。しかし、自分の審査は至って簡単に済んだ。「何しに来たの?」「観光です」「どのくらいいるの?」「4日です」これだけでOKだった。

 空港からはヒースロー・エクスプレスに乗って市内に入ったが、これがとてつもなく高い料金と知って深く反省。ホテルはあらかじめ市内に予約してあったので、すぐにホテルに入って荷物を預かってもらう。この日はロンドン市内見物で過ごす。ロンドン名物、赤い2階建てバスの1日券を買って、バスを乗り回した。結構安上がりなのだが、バスは渋滞などがあってとても時間がかかった。夜はイギリス名物エールビールを楽しんだ。

 一応名所と呼ばれる所は見て回った。流石大英帝国だけあってスケールがでかい。人々も忙しそうに動いている。ロンドンの人々は赤信号でも車が来なければ平気で道路を渡る。バッキンガム宮殿の衛兵交代式には世界中から沢山の観光客が集まっていた。あれは観光客を呼ぶ経済効果があるんだと確認する。観光立国を目指すなら、日本の御所でも警官交代式をやったらどうだろう、などと思う。ただ、建物自体はどこのヨーロッパの都市でも同じような気がした。そろそろヨーロッパの町巡りも飽きて来た様だ。

7月17日、晴れ。
 この日は、ユーラシアへの玄関であるドーヴァー、イギリスで最も美しい村との評判のあるライ村、白亜の断崖が海岸線に続くセブンシスターズをまわった。イギリスの鉄道は全て民営化されていて、切符の種類も色々ある。一番高いのは一般券でラッシュアワーの時間帯に乗り降りする場合に買う。次に高いのがオフ・ピーク券で、ラッシュアワーの時間帯以外に使える。一番安いのが夕方過ぎで列車を指定する等の割引券。その他にも往復で割引になる券とか色々あって、列車に乗る前には事前に計画を立てて、窓口で前売りの割引券を買うか、インターネットで買うと安上がりになる。

 ドーヴァーはフランスにもっとも近い港町で、ドーヴァー海峡を挟んで向こう側がフランス、ユーラシア大陸だ。ここは交通と防衛の要衝だ。侵略者にとって、ここを破ることがイギリス侵略の関門となる。よって、ドーヴァーには堅牢な城が築かれた。今ではドーヴァー城は観光名所になっている。フランスに一番近いといっても、対岸のフランスを見ることは出来なかった。

 ライは小さな村だけれども、木組みの家々が立ち並び、さながら中世に戻った気分にさせてくれる。イギリスの古き良き田舎を知るには絶好の所と思えた。

 セブンシスターズは直角に切り立った白亜の断崖が続く、まさに絶景のスポット。この白亜は白墨の原料にもなるとのことで、色の白さが素晴らしい。断崖の上には緑の牧草、そして青い海岸線。青、白、緑のおりなすパステルカラーの風景は、イギリスにもこんな鮮やかな景色の所があるんだと驚かせてくれた。

 帰りの電車が何やら事故で遅れ、途中で運転を取りやめた。ダイヤが乱れに乱れ、ホームに表示される行き先と実際の電車の行き先が違っていたりして、しっちゃかめっちゃかだった。イギリスの鉄道もいまいちという印象を得た。今晩はビールとイギリス名物、フィッシュ・アンド・チップス。

7月18日、曇り、時々雨。
 この日はロンドンの交通網で使える、プリペイ式のオイスターカードを買って使った。日本のスイカみたいなものと思う(日本のスイカを使ったことがない)。駅で切符を買うより、オイスターカードで乗った方が料金が全然安い。時には値段が3分の1くらいになる。

 まずはグリニッジに行く。ここには子午線があって、地球の西半球と東半球を跨ぐことが出来る。ということで、西半球と東半球を跨ぐ。みんな跨いで喜んでいる。何の意味があるのか?自分でもわからない。が、なんか有り難く感じるのが不思議だ。グリニッジのオープン市場で日本食が売られていた。鮭の照り焼き丼を買って食べる。何かが違っていた。このグリニッジ、綴りはGreenwichなのだが、どうして日本ではグリニッジなのだろう?

 午後は市内に戻って大英博物館を見学した。この博物館、無料というのが素晴らしい。世界中の文化財が展示されているそうで、特にエジプト遺跡の蒐集品が素晴らしいということなのだが、要するに人の国のものを持ち出している訳で、エジプト人が見たら複雑な気持ちだろうな、と思った。ギリシャ遺跡のものはギリシャと返還要求でもめているとか、さもありなんだ。

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