ランスのお楽しみは、世界的に有名なシャンパンだ。が、シャンパンを求めてはるばるチェコからドイツを横断し、ランスに向かうというのはかなり過激だ。それに相当のワイン好きでなければ出来る所業ではない。ランスはパリまであと少しという所にある。今日は初日に次ぐ長いドライブの日となる。
まずプルゼニの高速道路入り口近くで給油し、ドイツへ向けて出発した。プルゼニを過ぎて70キロも走ると、ドイツ国境だ。国境に検問はないので、無停車で通過する。ここからフランス国境の町ザールブリュッケンまでは507キロ。このドイツ東端より西端までを休みなくひたすら走る。ザールブリュッケンの国境にも検問はないので、ここも無停車で通過する。こうして無停車でドイツを横断してしまった。さらにガソリンが尽きるまで走り、走行距離601キロを5時間で無停車走破した。これだけ連続して走り続けたのは距離も時間も自己最高記録だ。初日の1462キロ走破に続き、自己最高記録の更新となった。多分今後この記録を破ることはないだろう。
ランスの南にエペルネという町がある。この町は、ワイン好きには有名だが、一般にはそう知られていない。ここには名だたるシャンパンメーカーが軒を連ねている、シャンパンの町だ。なんと市民一人当たりの収入がフランスで一番高い。シャンパンの経済的威力とはすごい。このエペルネに到着したのは午後4時過ぎだった。
途中エペルネ近くのAy(アイ)という村による。アイ産のシャンパンは昔から高く評価されており、アイはシャンパンの心臓部と言われている。ここはシャンパンのブドウ畑のすぐ下に位置している。名だたるシャンパンメーカーがこの地域にブドウ畑を所有し、収穫したブドウをこの村で醸造している。醸造はこの様にブドウ畑の近くに設けた醸造所で行い、シャンパン特有の瓶内二次発酵の際にエペルネの地下貯蔵施設に保管するのだ。
シャンパンのブドウ畑は広々としており、アルザスを連想させたが、アルザスほど広大ではなかった。シャンパンだからといって、特別なものはなく、ごく一般的なワイン用のぶどうが実っていた。小粒で皮の厚いやつだ。別に、そこから泡が立っている訳でもない。当たり前だが・・・。しかし、ブドウ畑から、札束が湯気の如く立ち上る幻覚を見た。
エペルネの各メーカーが掘った地下貯蔵施設を仮に一直線につなげると、総全長が100キロにも及ぶそうだ。シャンパンがどれだけ利益を生んでいるかというのは、各メーカーの建物を見ると一目瞭然にわかる。何せみんなお城みたいなでかくて豪勢な建物ばかりなのだ。
エペルネのあるメーカーの地下貯蔵施設を見学させてもらったのだが、ブルゴーニュのボーヌのネゴシアンが持っているような地下貯蔵施設とそんな変わりはなかった。違いは、二次発酵させた瓶を徐々に立てていって瓶の首に酵母の澱を集める木製の板が置いてあるくらいだ。最近ではこれも機械化されていて、木製の板を使うこともないらしい。この板を使って澱を集める作業には熟練が要って、その昔は熟練工が活躍したのだそうだが、今や機械に押されてしまっているとのこと。
見学したメーカーのシャンパンも試飲したのだが、酸化したものもあって評価出来なかった。お店の人にそれを言ったが、黙りこくってしまって何もしなかった。残念な対応だった。ということで、このメーカーの名前は非公開。頭文字だけ、A.P.、ツーリスト・インフォから歩いて2−3分の所。
私が買いたかったシャンパンはボランジェ(Bollinger)というメーカーのもので、今品質で三つ星を得ている、シャンパンのトップクラスのメーカー。もともとはドイツ人だそうで、品質を求め、Ayの村に本拠地を固め、今の評価を得るに至っている。ボランジェを訪ねたがメーカーでは小売りしておらず、小売店のリストを渡してくれた。そのリストにあるお店でボランジェのスペシャル・キュヴェを買う。32ユーロだった。日本円にして4300円。
エペルネからはシャンパン・ルートを伝ってランスに向かう。シャンパーニュの丘を縦断してエペルネとランスを結ぶルートだが、この丘から見下ろすブドウ畑の風景が素晴らしい。ランスに近づくと、遠くにカテドラルの偉容が見えてくる。
ランスはシャンパンのもう一つの中心地で、こちらにも有名シャンパンメーカーがひしめいている。またランスはフランスの歴史と深く関わる町なので、フランス観光を兼ねてシャンパン工場も見学したいとなれば、ランスを訪れるのがいい。エペルネは周囲のブドウ畑の見学とセットで、シャンパンを深く知りたい時にお勧め。
ランスはフランスの初代王クロヴィス(481年即位)がカトリックの洗礼を498年に受けた所。この洗礼によって、クロヴィスはゲルマン諸族の王で初めてカトリック教会の認める王となった。これがローマとの結びつきを深めるきっかけとなり、後に同じフランク族カロリング家のカール大帝が西ローマ帝国の皇帝に戴冠される下地となる。フランス王はこの故事にちなみ歴代の王がランスで戴冠している。ランスでの戴冠は正統なフランス王であることの証明だった。
フランス歴代の王が戴冠したのが、ランスのノートルダム大聖堂だった。流石に歴代の王の戴冠場所だけあって荘厳だ。またあちらこちらにちりばめられたステンドグラスがとても美しい。ちなみに初代フランス王クロヴィスは508年にパリを都と定めた。パリはフランス初代王からの首都だ。そして死後パリの近くのサン=ドニ大聖堂に葬られた。
クロヴィスに洗礼をした司教サン・レミは今現在ランスのサン・レミ大聖堂に安置されている。ランスのノートルダム大聖堂とサン・レミ大聖堂は共に世界遺産になっている。ランスを訪問する際は、これらの歴史的な建造物を見物するのが定番だ。ランスの町並みも歴史を感じさせてくれる。
ランスではノートルダム大聖堂の目の前にあるホテルに宿を取った。その名もラ・カテドラル(La Cathedrale 大聖堂)。ランスの繁華街にも近く、大変便のいいところだった。値段は朝食別で54ユーロ(約8千円弱)と今回のホテルの中では一番高かったが、場所代といったところか。本日の走行距離898キロ。夜、ランスの町は賑わっていた。
決めたわ。
ReplyDeleteベルギーに友達夫婦(イギリス人とイタリア人夫婦)が
いるのですが、ゲンクとか言う都市らしい。
お金がたまったら遊びに行きたいと思っていましたが
のりさんにも会いたい。
と言うことで、まずはスイスに行ってバーバラと会い
のりさんが運転して、ドイツ東欧、ベルギーと
まわって案内してくれたらいいんだ。
飛行機代でガイドを雇うようなものだね。(笑)
その時はよろしくね。
ちなみにそのあと北イタリアを回りたいのだけれど(爆)
みんなスイスに来たいというのだけれど、まだほんとに来た人は一人しかいないんですよ。生きているうちに実現して下さいね。笑
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