2010/10/18

富山の薬売り考・白川郷、飛騨牛

10月6日
率直に言って、宇奈月温泉の泉質よりみくりが池温泉の泉質の方がいい。宇奈月の湯はなめらかでいいのだけれど、私は硫黄臭のするちょっと白く濁ったお湯が好みだ。湯の華も欲しい。だけど、旅館で富山名物の越前ガニを堪能できたので、それは満足だった。

今日からは観光旅行となる。まずは富山市内に向かった。製薬会社の見学だ。富山と言えば、薬売りだ。これは江戸時代から始まったそうだ。何でも富山藩主前田正甫という人が愛用していた「反魂丹」という薬がよく効くという事から評判になって、前田の殿様自ら率先して全国に販売して行ったとの事。この時殿様の命令で、まず薬を置いてもらい、使った分だけお金を取る様にという商売が始まったそうで、これが富山の薬売りの始まりだとか。

昔の薬は、風邪も下痢も腹痛も何でも一つで済ましたそうで、反魂丹もそういう万能薬の一種だったとか。逝ってしまった魂を戻す(反)薬(丹)という事で、そういう名前が付けられたそうだ。今反魂丹は作られていない。明治になって、販売が禁止された。これは西洋医学の導入による弊害だったとか。今までの薬は科学的ではないという事で、一律切り捨てられたようだ。

こういう後払い式常備薬のシステムで商売している所は、世界広しと言えど、富山の薬売りしかない。世界でも希にみる商売だとの事。消費者に優しい素晴らしいシステムでもある。世界中から見学者がやってくるそうだ。しかし、その世界中からやってくる人々は誰も「自分の国ではこの商売は出来ない」という。売る方の正直さが根本のこの商売、お客の方も同様に正直さが求められる。このお客の正直さが国外では期待できそうもないそうだ。他の国から見たら、日本人は「馬鹿」がつく程の正直者なのかも知れない。

白川郷をちょっとみた。飛騨高山で飛騨牛を食べる予定だったので、本当にちょっと見る程度になってしまった。村内にも入らず、村を一望できる展望台に直行しての白川郷見物だった。ここの展望台にも中国を含めた外国からのお客様が沢山いた。白川郷は世界遺産にもなっており、相当知られてはいると思うが、日光並みの国際的観光名所になっているようだ。

飛騨高山。最後に訪れたのはもう10年以上前になる。妻と一緒に人力車に乗ったのを覚えている。その前には学生時代に自転車で飛騨高山まで行った事がある。確かユースホステルで知り合った女の子と暫く仲良くなった記憶がある。な、懐かしい。

今回の目的は、花より団子、飛騨牛を喰うということ。市内にある飛騨牛専門店に入った。網焼きで飛騨牛を頂く。美味しかった。エネルギーをつけ過ぎてしまったため、食後高山の古い街並みを見物がてら散歩した。古い町並みは確かに美しいのであるけれど、どこもお土産店みたいになっていて、ちょっと観光地化し過ぎている印象を受けた。人通りも多かった。

観光立国日本、確かにそれもいいのだろうけれど、観光地化、という事にも配慮が必要ではないだろうか。そんなことを考えた。商業化された観光地、それはどことなくいびつだ。形ばかりが整えられて、内面が失われつつある。果たしてどれだけの人がそれに満足出来るだろうか。

高山から山に入り、平湯を越え、さらに奥にある新穂高温泉に向かった。今日は新穂高温泉で宿泊。ここは秘湯なのだそうだ。大きな露天風呂があった。温泉はそんなに匂いのない、なめらかな感じの泉質だった。

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