2012/05/19

19年前のイラン滞在記の続き

私の印象としては、イランという国は約三十年前の日本の現状と同じだ。工業製品などで、必要なものすら入手が難しい。人々は貧しい。男性優位の社会でもある。しかしイラン人は日本人より勤勉ではない。また、規則はあっても守られることはない。生真面目な日本人には耐えがたい部分がある。

イランの千リアルが日本の30円にひとしい。物価の感覚は、例えばヨーグルト1.8リットルが2千リアル。サクランボ1キロが2千5百リアル。果物は1キロ2-3千リアル。ガソリン1リットルが百リアル、といった例から大変安いような印象を受ける。

しかしイラン人の給料が日本人の給料の額をそのままリアルとしたものの半額くらいなので、リアル感覚でいうと相当に高い。輸入品になるとさらに高い。36枚撮りのフィルムが9千リアルである。イラン人にとっては1万8千円に等しい。

町では黒い服が目立つ。男も上下黒服が多いし、女性も黒ずくめだ。特に女性はだれもが黒いコートと黒いスカーフを頭につけているので、誰が誰だかわからない。10歳から外出の際は黒コート、黒スカーフをつけなければならないそうだ。たまに違った色のコートやスカーフをつけた人に出会う。かなりお金持ちらしい。ついつい注目してしまう。

テレビは退屈だ。宗教番組、もちろんイスラム教、景色を流す番組、ニュース、スポーツ番組くらいしか流れない。たまに輸入物の刑事番組がある程度。当然、ペルシャ語だから何を言っているのかはさっぱりわからない。

トイレはしゃがむ方式で日本と似ているが、先端の丸がない。男もしゃがんで小便をする。とてもやりにくい。和式風にしゃがんでいては息子さんがどこに向いているのか確認が極めて難しい。思ったところに放出出来ない。因みにイラン人は紙を使わない。水で洗うだけ。洗った後は自然乾燥。

町中で兵士をよく見かける。銃を持っているので恐い。特にガソリンスタンドには必ずいる。ガソリンは最近3倍に値上がり、それにより暴動が発生したらしい。治安が悪くなる一方のように思える。何かが不自然であり、人々は抑圧されているように見える。

日本人スタッフは個人行動が出来ない。休日の外出はイラン人の許可が必要だ。まるで監禁状態である。警官を装った窃盗詐欺が横行しており、外国人はカモにされる。所持品のチェックをされ、その際にお金を抜かれる。私も、身分証明書を出して私を引き留めようとする人に出会った。言われていた通り、無視してその場を去った。

全ての商品には値段がついていない。相場があるらしいが、ぼられているのかどうか全然わからない。しかし、日本円にすれば安いので問題はない。例えばイランの地図がホテルの値段で1万リアル。日本円で300円。安いところは、その半値の5千リアル。それでも150円だ。確かに半値なのだが、地図なら300円で買って何の文句もない。

アンティークショップでコーヒーカップを買った時、最初3万リアルと言われた。値切る。すると半値まで下がった。サイトで働くイラン人に話をしたら、イラン人だったら3分の1の値段になるそうだ。

イランでは羊の脳味噌を食べる。で、いつ食べるかというと、朝に食べるのだそうだ。イランでは三度の食事の中で、朝が一番重い。夜が一番軽い。イラン人労働者の中には昼を抜く人もいる。朝沢山食べると昼抜きでも大丈夫なのだそうだ。ラマダンという日中に絶食するイスラム教の習慣がイランにはある。昼抜きは慣れたものなのだろう。

イランでは「朝は一人で、昼は仲のいい友達と、夜は仲の良くない友達と一緒に食事をせよ」という格言があるらしい。朝は重い食事なので友達とは分けあわず、夜は軽い食事なので大切ではない友達と一緒でよいということらしい。なんとなくせこい。

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