2012/04/13

ロケットなのかミサイルなのか、つらづら思うこと

ロケットなのかミサイルなのかは、推進体の先端に人工衛星等が搭載されるか、弾頭が搭載されるかの違いらしい。人工衛星を打ち上げられるということは、大陸間弾道ミサイルを発射できるということを証明する。

今回北朝鮮が南向きに人工衛星を打ち上げようとしたが、南向きに人工衛星を打ち上げて軌道に乗せると、地球のどこにでもミサイルを打てるという技術の証明になるのだそうだ。ただし、その弾頭が大気圏に再突入して爆発したり、燃え尽きたりしなければの話で、その技術開発も必要になるとのこと。

仮に北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを開発したとして、日本にとって、今日本が騒いでいるほどの脅威となるのか、少し疑問だ。日本をミサイル攻撃するのに、大陸間弾道ミサイルはいらない。アメリカにとって脅威になるのはわかる。日本はこの件に関して、アメリカの為に大騒ぎをしているのだろうか。

恐らくは、軍事的脅威とは別の視点なのだろう。北朝鮮が高度な技術を持つのは面白くない。独裁圧制国家が繁栄するなどもってのほかだ。ここら辺が本音かも知れない。

私は、個人的にはどんな国でも自力で高度な技術を開発する権利があると思っている。一方で、独裁圧制国家はその体制が望ましくないと思う。北朝鮮の場合、独裁であり、圧政であり、人々が飢餓に苦しんでいる。やはり、ロケットなどを開発する余力があるのなら、国民を飢えさせないことに力を入れるべきなのではないかと思ってしまう。

今回の人工衛星打ち上げは、失敗に終わった。ニュースによれば、打ち上げ後2分ちょっとで爆発したらしい。上空70キロの地点で爆発、二つに分離し、勢いで上昇を続け、最高高度151キロに達した。そして落下して韓国の沖合の公海上に落ちたらしい。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120413-OYT1T00937.htm

正直、これは危ない代物だ。間違って陸にでも行っていたらと思うと、韓国民は背筋が凍る思いだろう。

今回の打ち上げは、ロケット発射後かなり初期の段階で失敗したと思われる。ロケットは3段式で、推進体を三段階に分けて切り離しつつ衛星を軌道に上げる。その第一段階でつまずいてしまった。これはかなり痛い。宇宙開発が振り出しに戻ったともいえそうだ。今回の失敗で、北朝鮮が人工衛星を打ち上げる能力を有しておらず、これを有するには今後相当な時間と費用が必要である、ということを全世界に公表してしまった。

人工衛星は、だいたい低いもので高度500キロくらいの所にある。GPSなどの衛星は2万キロくらいだそうだ。低いところを飛ばすと、空気の摩擦などで人工衛星の速度が落ち、短期間で地球に落下してしまう。人工衛星の中軌道が高度2千キロからなので、おおかたの人工衛星打ち上げには、高度2千キロ以上物体を打ち上げて軌道に乗せなければならないことになる。

一般に地球の大気圏は約千キロと言われている。しかし、宇宙空間の定義は高度100キロ以上の空間とされている。通常宇宙空間には領空権が及ばない。今回の北朝鮮のロケットは、勢いで部品が宇宙空間まで出たが、ロケット自体は宇宙空間に出る前に爆発していたといえる。

因みに飛行機が飛べる高度の限界が約15キロ。それも戦闘機でないと無理なようだ。民間の長距離旅客機は高度約11キロの所を飛んでいる。なお、戦闘機でむりくり上昇しようとすれば、高度約25キロ近くに達するらしい。しかしそこでは空気が薄すぎて操縦は不可能だし、宇宙服を着ていないとパイロットは死んでしまうとのこと。高度20キロを超えると、宇宙にいる気分には浸れるみたい。
http://www2m.biglobe.ne.jp/~ynabe/mach/highalt.htm

余談続きだが、長距離旅客機が巡航する高度約11キロは、大気圏中の最下層、対流圏と次の成層圏の境目に位置している。大気圏内の大気の質量の80%は対流圏の中にあるとのことで、生きた人間にとって、対流圏より上の大気層は、まぁ真空みたいなものだ。高度20キロにも達すると、宇宙服を着てでもいないと、低圧のため血液が沸騰するらしい。

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