2012/04/18

ミサイル技術は北朝鮮よりイランの方が上、独自開発は国際的孤立化への道

ロケットとミサイルは推進体に同じ技術が用いられることから、ロケット開発をミサイル開発だと非難しやすい。人工衛星を打ち上げられる国は、大陸間弾道ミサイル、要するに世界中のどこにでも弾頭を打ち込めるミサイルを作る事が出来る。

人工衛星については、Wikiによると

自国で打ち上げることができる国は、2012年4月時点で8カ国(ロシア、ウクライナ、アメリカ、日本、中国、インド、イスラエル、イラン)と1機関(欧州宇宙機関(ESA))のみであり、大多数の国々はこれら少数の国と機関に打ち上げ業務を依存することになる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F

この世界でたった8か国の中に日本が入っているのは、大変頼もしい限りではあるが、イランもその仲間入りをしている。日本の報道では、イランは北朝鮮からミサイル技術の供与を受けている、といわれているが、それはつじつまが合わない。イランは既に人工衛星を打ち上げていることからして、人工衛星打ち上げに失敗している北朝鮮からその技術供与を受ける必要はない。

今では北朝鮮製ミサイルを安価という理由で買っているに過ぎないのだろう。一方で、

<北ミサイル失敗>「20秒早く爆発していれば白リョン島は大災難」(2)
http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=150650&servcode=500&sectcode=500

では、今現在、ロケット開発技術を北朝鮮はイランから供与されていると報じている。最初、北朝鮮からロケット技術がイランに渡ったが、今ではイランのロケット技術の方がはるかに進んでいる。

北朝鮮のロケット技術は、イランからの技術供与の他には、ほとんどが独自開発によるものだ。韓国もロケット開発をしているが、1段目推進体の開発は協定で出来ないらしい。

「独自で解決の北ロケット技術、韓国よりレベル上」(2)
http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=150508&servcode=300&sectcode=330


韓国が出来ない1段目推進体の開発の意味するところは、ミサイル開発放棄の意思表示なのだろう。1段目に必要な推進力の技術は韓国も有している。北朝鮮も1段目を中国から供与されるなどして、国際的な協力関係のもとに宇宙開発を進めていたならば、独自のミサイル開発だ、等の非難を受けることはなかったろう。

朝鮮戦争は停戦中で、法的には未だ戦争状態にある。北朝鮮の事実上の敵国はアメリカだ。この状況で、アメリカに届くミサイルの開発はアメリカに対する挑発と受け取られて仕方がない。宇宙開発に関しても、韓国の配慮などを参考にすべきだった。北朝鮮への国際的な非難はそうした背景にある。

因みにロケットは通常同じものを2つ以上作るのだそうで、もう一回は少なくとも発射実験されそうだ。今回の失敗の原因究明の後、少なくとも半年以上先のことになるようで、早ければ今年末か。多分来年以降だろう。

<北ミサイル失敗>の記事で専門家が今後の展開についてコメントしている。

−−北朝鮮はいつごろミサイル発射に成功するのか。

「発射体の技術は'試行錯誤の技術'だ。 数多くの試験と失敗を繰り返すほど技術は安定化する。 このため宇宙技術を確保するには巨額の費用がかかる。 ところが北朝鮮にはお金がない。 現在、北朝鮮のミサイル製作の設備・道具はすべて老朽化している。 資金不足で部品も十分に確保できない。 国際社会の制裁も厳しい。 このためミサイル研究を数十年間しても限界があるだろう」

この専門家(韓国航空隊航空宇宙および機械工学部のチャン・ヨングン教授)は今回の実験について、次のように評価している。

「『北朝鮮のミサイル推進技術はかなり発展した』と言えるだろうが、『北朝鮮のミサイル技術は検証された』と言うことはできない。」

北朝鮮製の大陸間弾道弾は検証されておらず、その成功は数十年先になっても限界がある(安定的な技術の完成は極めて悲観的)、ということらしい。最近お披露目された大陸間弾道弾らしいものも、相当性能の怪しいものと推定される。北朝鮮が本当に純粋に宇宙開発を進めたいなら、少なくとも独自開発の路線からは撤退すべきだ。

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