2010/02/20

私のスイス、ヨーロッパ(112)

 8月初め、子供たちは夏休みで1週間のキャンプに出かけ、妻は仕事、その間私に仕事が入っていなかった。一人で旅行に出かけられるのは、こんな時しかない。年に1度あるかないかの希な機会だった。昨年から是非アウシュビッツを訪れてみたいと思っていたので、この機会に行くことにした。車を使い安宿に泊まってのエコノミー旅行ということで妻の承諾も得た。

 8月4日、曇り。午前4時半起床、5時に家を出た。本日の目的地はポーランドのクラクフ。しかし、相当距離があるうえ、訪れた事もない国なので無事に辿り着けるかはわからない。とにかく走れる所まで走るという計画で出発をした。

 ルートはベルンを出て東に走り、スイスの東端ザンクト・ガレンよりオーストリアのブレゲンツを通過し、すぐにドイツに入り、さらに東にミュンヘンまで走る。ミュンヘンからは北上し北北西に位置するドレスデンを通過、そこからさらに東へと走り、ポーランドに入って、ウロツワフ、カドヴィツェと過ぎてクラクフに到着するというもの。ざっと見積もっても1300キロを越える行程だ。ドイツのドレスデンまでで既に900キロに達するので、ドレスデンまで行ければ上出来と思っていた。

 実はミュンヘンからチェコのプラハを通り、ポーランドのカドヴィツェに向かうというコースがちょうど2辺の斜めを走る近道となっているのだが、私の持っている本では高速道路は有料とあったので、それを避けるためにちょっと遠回りでもドイツから直接ポーランドに入るコースを選んだ。ドイツの高速道路は無料な上、速度制限がないくらいに良く整備されていて走りやすい。

 スイスの朝の5時は夏場でも暗い。夜明けは5時半ころから始まり、6時にならないとお日様の照る朝が訪れない。その分、夜は9時半を過ぎてもまだ明るい。ようやく明るくなった7時頃、ザンクト・ガレンを過ぎた国境近くで給油をした。スイスのガソリン代はドイツのガソリン代に比べて3割くらい安い。なるべくスイスでガソリンを買うのが経済的だ。今日のスイスの朝はちょっと霧の立ちこめる曇り空だった。

 ドイツのミュンヘンに向かうには、どうしてもオーストリアを通過する必要があった。ほんのちょっとの距離なのだが、オーストリアに入らなければならない。ただし、シェンゲン協定というものがあって、スイス、オーストリア、ドイツはこれに加盟しているため、国境でのパスポート・コントロールはない。国境はノンストップで通過できる。

 ミュンヘンを過ぎたのは10時前だった。ここまでで走行距離が450キロ。曇り空だ。エアコンのない私の車にとって、曇り空は結構快適ではある。ドイツの高速道路は快適で、すいすい走れる。燃費も気になるので、時速130キロで巡航するが、それでも多くの車に追い越される。時速130キロを保つ様に走ると、だいたい1時間で120キロは進む。少し距離が伸びないのは大型車などが走行を邪魔したり、工事があってスピードダウンすることがあるからだ。

 ドレスデンを過ぎ、ポーランド国境までは大変順調に進んだ。午後3時にはポーランドに入れた。ここまでの走行距離で1015キロになっていた。1015キロを10時間弱で走った。この調子だと、今日中にクラクフに着けると思い、目的地をクラクフに定めた。

 ところが、ポーランドに入ると、高速道路が終わってしまった。建設中の高速道路が見えていたのでもうすぐ高速道路が開通するのかも知れない。とりあえず、国境の両替所でポーランド通貨のズオチを買う。100フランで250ズオチが買えた。日本円にすれば1ズオチが35円くらいだ。

 30分ほど下道を走ると、再び高速道路が現れた。しかし、私の持っている地図(2002年版)では高速道路はウロツワフまでしか延びていなかった。この分だと、クラクフまでは無理かな、と不安がよぎった。ところが、なんと高速道路はクラクフまで延びていた。この6-7年で相当高速道路が整備されたようだ。

 ポーランドの高速道路は時速110キロの制限だったが、その速度制限を守っている車は少なかった。特にドイツナンバーの車は、ドイツのアウトバーンを走っているかの如く、猛スピードで走っていた。ポーランドの高速道路は有料とあったので、どの位取られるのかちょっと不安ではあった。

 しかし、料金を徴収されたのはカトヴィツェの手前で6.5ズオチ、そしてクラクフの手前で6.5ズオチの合計13ズオチだけだった。高速の出口には個別料金所がないので、この料金所の手前で降りて、1区間下を走った後にまた高速に入れば、高速料金は無料になるに違いない。しかし、およそ400キロの高速区間の料金がたったの13ズオチ(約455円)なのだから、これは支払ってあげなければいけないような感じもする。

 クラクフについたのは午後7時45分頃だった。およそ14時間30分の運転となった。走行距離は1462キロ。やはり、毎時100キロのペースで運転できた事になる。それにしても、1日で1462キロも走ったのは、自己最長記録だ。それ以前はアメリカで1日1200キロ走った記録を持っていた。

 クラクフでは旧市街から2キロ程離れた所にホテルをみつけた。ホテルの名前はパノラマ(Panorama)、1泊朝食付き140ズロチ。日本円で5000円くらいだ。旧市街の散策は翌朝に回すことにした。ホテルに着いた頃には日が暮れていたのだ。東に移動したおかげで、日が暮れるのが早くなったみたいだ。クラクフでは午後8時半には暗くなっていた。

2 comments:

  1. あほか、と言ってもいいですか?(笑)
    私の最高記録は横浜から下関の1000kmです。
    日本の中でも大変だったのに、いくつもの国を
    通り過ぎるのは大変だったでしょうね。
    それも一人と言う淋しさの中で。(笑)

    アウトバーンを130km/hと言うのは自殺行為では?
    私が行ったときは180km/hでも遅くて
    周りの車からブーイングでしたよ。

    夕食を一人と言うのは寂しいでしょう?(爆)

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  2. 笑ってやって下さい。私も笑ってますから。
    ただ、日本の中で高速走るより、全然楽だし。スイスからポーランドまで、国境のチェックはありません。国境でちょっとあったのが、ポーランド通貨の両替くらいでした。

    アウトバーン130キロというのは、ちょっと不安だったのですが、走ってみたらそうでもなかったです。現在トラックはアウトバーンでも80キロ規制ということで、130キロでも速い方になっているみたいです。

    でも速い車は200キロ超えてますね。200キロ出して捕まらない国は、さすがにヨーロッパでもドイツぐらいですから。笑

    夕食を一人というのはさみしいですよね、夜の街にかなり誘惑されます。大笑

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