http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110330k0000e030026000c.htm
【ロサンゼルス吉富裕倫】東京電力福島第1原発と同型の原子炉を設計した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の元技術者、デール・ブライデンバーさん(79)が毎日新聞の取材に応じ、原子炉格納容器について「設計に特有の脆弱(ぜいじゃく)さがあった」と指摘し、開発後に社内で強度を巡る議論があったことを明らかにした。
東電によると、福島第1原発はGEが60年代に開発した「マーク1」と呼ばれる沸騰水型軽水炉を6基中5基使っている。
◇議論封印「売れなくなる」
GEでマーク1の安全性を再評価する責任者だったブライデンバーさんは75年ごろ、炉内から冷却水が失われると圧力に耐えられる設計ではないことを知り、操業中の同型炉を停止させる是非の議論を始めた。
当時、マーク1は米国で16基、福島第1原発を含め約10基が米国外で稼働中。上司は「(電力会社に)操業を続けさせなければGEの原子炉は売れなくなる」と議論を封印。ブライデンバーさんは76年、約24年間勤めたGEを退職した。
ブライデンバーさんは退職直後、原子炉格納容器の上部が小さく、下部と結合する構造が脆弱で万一の事故の際には危険であることを米議会で証言。マーク1の設計上の問題は、米原子力規制委員会の専門家も指摘し、GEは弁を取り付けて原子炉内の減圧を可能にし、格納容器を下から支える構造物の強度も改善。GEによると、福島第1原発にも反映された。
しかし福島第1原発の原子炉損傷の可能性が伝えられる今、ブライデンバーさんは「補強しても基本設計は同じ。水素爆発などで生じた力に耐えられる強度がなかった」とみる。また「東京電力が違法に安全を見落としたのではない」としながらも、「電気設備の一部を原子炉格納容器の地下に置くなど、複数の重大なミスも重なった」と分析した。
ブライデンバーさんはGE退職後、カリフォルニア州政府に安全対策について助言する原発コンサルタントとして約20年間働き、現在は引退している。
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圧力容器の下は100本以上にも及ぶ配管だらけ、要するに弱い穴だらけ。これでは漏れる。
福島第1原発:沸騰水型の構造裏目に
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110331k0000m040158000c.html
しかも元GEの技術者によれば、GEの原子炉はそもそもが水素爆発に耐えられる強度がなかった。加えて、もともと構造的に弱点を抱えるこの炉の下に電気設備の一部を置くなど、複数の重大なミスが重なっている。
一方で、小さい穴だらけの所から、ちょろりちょろりと漏れ出る為に、重大な水蒸気爆発を結果的に防いでいるとも指摘がある(福島第1原発:沸騰水型の構造裏目に)。不幸中の幸いか。憶測にすぎないが、水蒸気爆発の危険性はかなり遠のいたと思う。あとは冷却を早めて、放射能漏れを防ぐ。
原子力は安全だ、と宣伝するがために、より一層の安全処置が出来なくなっていたとも聞く。より一層の安全処置をすれば、もともとの設備が不安全、あるいは不完全なものとの批判を浴びる恐れがあるからだ。
完全な装置など作れないし、機械はいずれ壊れる。腐食もするし、プラントはこうしたリスクにメンテナンスしながら対応して行く。ところが、より安全に向かう為のメンテナンスが出来ていなかった、ということだろう。
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