スイス関連のMLに流したものだけど、長々と書いたので、備忘録としてブログに転送。
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東北電力よりの福島第一原発への電源供給が19日にも開始されそうということ、大変期待しております。無論予断は許されないというのは承知の上です。
通常の常識では緊急炉心冷却システム(ECCS)が最後の砦、これがダウンしたらアウト。今は、所詮爆発を防ぐだけの緊急処置だけ、どうにかしてECCSを稼働させなければならない。それしか道がない訳で、その第一歩が震災8日目にして踏み出せようとしています。
電気がなければ、エンジニアは活躍出来ません。しかし、電気が得られれば、エンジニアの活動の場がやっと与えられるのです。日本を技術立国に押し上げたのは現場の力です。世界で最も優秀なエンジニアの出番がようやっと出て来ました。
鋼鉄は手では切れませんし、手ではモーターも回せません。しかも、原発で主に使われる金属であるステンレス鋼は、特に硬いんです。
世界に名だたる日本のエンジニアさん、期待しています。何とかECCSを動かして下さい。
で、本題。放射線の測定値について思う事。
放射線の強さを表す単位として、シーベルトというものがあるそうですが、これは物理的な量というよりは、人体に影響を及ぼす放射線の大きさの単位という意味合いがあるようです。
Wikiの定義によると、「シーベルト (Sievert) は、生体への被曝の大きさの単位。記号はSv。」この単位は一般的な生体への影響を示す事は確かですが、詳細に見るとこればかりを信じてはいけないとの警告もあります。
放射性物質は一つとは限らず、色々なものが生成されており、中には何十年もの間、放射線を出すものがあります。それが微量ながらも、体内の特定の場所に溜まると放射線量では捉えられない危険性があるそうです。
例えばストロンチウム90という放射性物質は、数十年に渡って微量ながらも放射線を出す。そして、この物質は骨に集まる傾向があり、骨髄がんや白血病を引き起こす可能性を秘めています。
http://jp.ibtimes.com/articles/16239/20110317/284011.htm
決して今、そこで測定されているシーベルトの値が微量であろうとも、このリスクは放射線漏れが続く以上消し去れない、とも言えると思います。
次に、ヘリコプターで放水がされた際に、原子炉上空90mの所の放射線量が測定されています。90ミリシーベルトに近い数値でした。ただし、単位が毎時です。
シーベルトというのは、単位がSI系だそうで、本当だったら時間軸は秒であるはずですが、公表値は時間軸だけ毎時や年であったりするので注意が必要です。
放射線の量は距離の二乗で弱まるそうですから、90m上空という事は8100分の一に弱まっていると単純に計算されます。それを逆計算すると、放射能漏れを起こしている源泉では毎時約700シーベルトにも及ぶ数値となります。因みに人が確実に死ぬ数値は6シーベルトです。これでは到底原子炉建屋に人は入れませんね。2秒弱で人はご臨終です。
敷地内の放射線値が上空の放射線値より低いのは、高温の蒸気あるいは上昇気流によって、放射性物質の多くが上空に飛ばされているからでしょう。
(で、どこにいってんのかな〜〜〜、海でしょうね、きっと)
人を秒刹する放射線量が原子炉から放出されている。しかも3基の原子炉から、というのが現実ではないかと思われます。
そういう現実は隠したいので、敢えて公表しないし、マスコミも政府のご威光には勝てず、そこまでは突っ込まない、というのが現状な様な気がします。
放射能漏れは現実であり、今後も相当量漏れ続ける。そして海に落ちれば海産物を汚染し、陸に落ちれば農産物を汚染する。物質によっては長期間にわたって放射線を出し続ける、一時点だけの放射線測定値はそのリスクに対してあまりにも無力です。汚染されたものを摂取すれば、内部被ばくを起こし、しかもその種類によっては特定部位に溜まり、微量でも危ない。
そういった認識は必要の様に思います。放射能ってのは、臭わないし、色もないし、味もしない、要するに人間の五感では感知出来ない所がやっかいですね。
脅かす意図はありません。シーベルト値の低さは、現時点での安全を保障するのも事実だと思います。ただ、様々な側面からの考察は必要だと思う次第です。
もうひとつ、首都圏の放射線量を地図で調べることの出来るサイト
http://www.j-cast.com/2011/03/18090608.html